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(2013.07)
ネクスト戦略ワークショップ「消費拡大層を取り込むミドルシフトのマーケティング」成功事例2.
躍進するホンダの軽
ディレクター 舩木 龍三

本コンテンツは、2013年6月13日に行われた当社イベント、第3回ネクスト戦略ワークショップ「消費拡大層を取り込むミドルシフトのマーケティング」のプログラム「マーケティング成功事例分析」講演録と、同日使用したプレゼンテーションをもとに構成したものです。

 ミドルシフトのマーケティングによって成功した事例のふたつめとして、ホンダ(本田技研工業)の軽自動車、「N-BOX」「N-ONE」のNシリーズを紹介します。軽自動車というと、割と若い女性...というイメージがありますが、Nシリーズのコンセプトは、ミニバン並みの価値を軽で実現するということです。弊社が提案する「Wミドル」の層が、ちょうどミニバンから、子どもが大きくなって切り替えのタイミングにきています。そこで、ホンダは、ミニバン並みの性能を軽で実現することで、若い層だけでなく、比較的年代の高い層までうまく取り込むことに成功して、軽自動車の中でナンバーワンブランドの座を獲得したという事例です。

 昔、軽自動車といえば、スズキとダイハツの2強時代がずっと続いていました。ホンダは「ライフ」という軽自動車を出していましたが、それほど売れていたわけではありません。そこで2011年12月に「N-BOX」第1弾を発売し、続いて2012年11月に「N-ONE」を発売して、軽自動車市場で躍進していきます。
 登録車を含めたランキングが四半期ごとに出されています(図表1)。「N-BOX」は発売当初、2012年1-3月期で一挙に8位にランクインし、2012年4-6月期から2013年1-3月期にかけて、3位をキープしています。2013年1-3月期の1位「アクア」、2位「プリウス」はいずれもトヨタ自動車の登録車ですので、軽自動車の中ではナンバーワンのブランドということになります。累計販売台数は、「N-BOX」31.5万台、「N-ONE」7.3万台ということで、「Nシリーズ」で累積38.8万台、軽の中のナンバーワンブランドとなっています。
 ちなみにNシリーズの意味は、「ニュー・ネクスト・ニッポン・ノリモノ」、新しい時代の日本の乗り物を創っていくということです。ホンダの人が言うには、「小さくて性能がいい車を創っていこう!」ということで、このNシリーズの発売が決まったそうです。

図表1.Nシリーズの実績と展開


 では、どのようなターゲットに、どのようなものづくりをしたのか(図表2)。「N-BOX」は、30代後半から50代の子どもがいる女性です。「タント」(ダイハツ)や「パレット」(スズキ)など、いわゆる既存の軽トールワゴンに不満を持っている人です。子どもを迎えに行く主婦などを徹底的にターゲットにしたということで、開発のポイントは三つあります。ひとつは、競合車種のユーザー調査から弱点と機会を発見したということです。具体的には、既存でも背の高い車がありますが、それでも高さが足りずに、子どもの自転車が載せられない。そうしたところに着目したということです。
 ふたつは、軽自動車専用のシャーシ、車体を開発したことです。初めは「ライフ」の車体で、高さのある車を作れないか試行錯誤していましたが、車内空間を広めるために、一からつくり直したということです。しかも、エンジンはほんのわずかなスペースに収めるために、ものすごくコンパクトにしています。開発時には、F1の開発に携わった人も一緒に入って作ったといわれています。
 三つは、ファミリーを意識したデザインです。軽というと、かわいさだとかを出そうというデザインのトレンドがありましたが、そこはシンプルに仕上げました。このようなデザインになったことで、結果、当然20代や30代も買ってはいますが、40代と50代で4割ぐらいを占めています。


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